映画『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』(以下、『ジョーカー2』)が公開されて以来、その評価は賛否が分かれている。前作『ジョーカー』の成功により、多くの期待が寄せられる一方で、今作では新たな要素としてミュージカル形式が取り入れられ、さまざまな反応を引き起こしている。本章では、観客の心の広さと深さを探るとともに、見どころや批判点に注目していく。
『ジョーカー2』は、2019年に公開された『ジョーカー』の続編であり、アーサー・フレック(ホアキン・フェニックス)の物語がどう進展するのかが描かれている。しかし、米国における評価は分かれ、特にミュージカル要素に対する反発が目立つ。
ミュージカルの導入とその影響
『ジョーカー2』では、予想外にもミュージカルパートが導入されている。アーサーが精神病院に収監されている中、彼の心情を描写する手法として用いられている。この点について、観客からは「全体のトーンが変わってしまった」「前作のような緊張感が薄れている」といった声が上がっている。
例えば、日本でも広く親しまれているミュージカル映画の中で、初めから最後まで歌にすることで矛盾を軽減した『レ・ミゼラブル』とは異なり、『ジョーカー2』は一般的なセリフから唐突に歌い出す形式を取っている。このため、ストーリーに対する没入感が妨げられると感じた観客が多いのだ。
ストーリー展開の評価
前作は、アーサーがジョーカーとして覚醒する過程を描いていたが、『ジョーカー2』ではその後のアーサーを描いている。彼は精神病院にいて、恋や法廷問題に悩まされながらも彼のキャラクターは以前のような暴力的な印象から離れている。この変化は期待していたファンからすれば「物足りない」との声を生む結果となった。もともとは犯罪スリラーだった前作が、ラブストーリーと法廷劇になってしまったことが否定的な評価の一因である。
事実・数字
- 前作『ジョーカー』は、R指定映画の中で世界最高の興行収入を記録した。
- 今作『ジョーカー2』は、公開初日で77の国と地域でオープニングNo.1を達成したが、各国での評価は揺れている。
監督トッド・フィリップスの意図
トッド・フィリップス監督は、なぜ今作をミュージカルにしたのか、自身の意図を語っている。彼は「物語は常にアーサーの視点から描かれ、彼の複雑な精神状態を表現するための手法の一つ」としてこの形式を選んだと説明している。この点は、観客の受け取り方において大きな分かれ目となるようだ。
役者陣の反応
日本語吹き替え版でアーサー役を務める平田広明は、「本国でも賛否が分かれることは承知していた」としつつ、観客が映画を観るたびに異なる印象を持つことが本作の特徴であると強調した。また、村中知が演じるリーについても、観客に「価値観や背景によって異なるかもしれない」と述べている。
対照的な観客の反応
- 賛成派は「新しい形の表現がもたらす深さに感動した」とする一方で、
- 反対派は「前作の持っていたエッジの効いた恐ろしさが失われた」との評価を下している。
FAQ
Q: なぜ『ジョーカー2』はミュージカル形式なのか?
A: トッド・フィリップス監督は、アーサーの心情を描く手法としてミュージカルを選んだ。彼の精神状態を反映させるための表現手段の一つ。
Q: 映画のテーマは何か?
A: 前作ではアーサーの暴走とその過程が描かれたが、今作では彼がジョーカーになれなかった悲劇や、新たな愛と華麗な狂気をテーマにしている。
Q: 評価はどのように分かれているのか?
A: 賛否が両論あり、特にミュージカル形式やストーリー展開に対する反発が強い。ファンの期待を裏切る形になった部分も多いため、批判や戸惑いの声が上がっている。
参考文献
- 映画『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』の公式サイトや映画レビューサイトを参照することで、さまざまな観客の意見や専門家の考察を深めることができる。詳細はTHE RIVERをチェックしてください。
『ジョーカー2』は、単なる続編以上に多くのテーマや視点をもたらし、観客に考える余地を残している。賛否両論を巻き起こす映画ではあるが、その中には人それぞれの解釈が編み込まれている。未見の方にとっては、一度劇場での体験を通じてその真意を探ることをお勧めしたい。